京都おすすめ散歩道

定番から穴場まで京都のお散歩コースを地元民の視点からご紹介

嵐山の絶景穴場スポット亀山公園へ

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日本でも有数の景勝地 京都嵐山には桜の名所がたくさんあります。
有名なのは渡月橋南端から阪急嵐山駅までにある中之島公園。こちらは渡月橋を借景に嵐山を臨むことができる絶好のビュースポット。飲食店もたくさん並び、いつもたくさんの観光客で賑わっています。
あまり知られていませんが、嵐山にはもうひとつ桜を満喫できる穴場の絶景スポットがあります。それが渡月橋の北端から大堰川沿いに西へ500メートル程進んだ先にある亀山公園です。適度な起伏に富んだ園内は、京都らしい自然の美しさを堪能出来る知るひとぞ知る公園です。
コロナ禍の今、人混みを避けつつ京都の春の美しさを満喫したい方は、この亀山公園を訪れてみてはいかがでしょうか?

亀山公園への行き方(亀山公園のふもとまで)
JR嵯峨嵐山駅から徒歩15分
京福嵐山駅から徒歩約14分
阪急嵐山駅から徒歩約20分
トロッコ嵐山駅から徒歩約5分

亀山公園の場所
嵐山公園 亀山地区
075-414-5326
https://maps.app.goo.gl/iqGY3n8GBHAXsCZs8

1.嵯峨嵐山駅から渡月橋
今年は史上最も早く桜の開花と満開が観測されたとか。ぼやぼやしてると桜の一番良い時季を逃してしまう!ということで、例年より1週間ほど早くお目当ての桜スポットを目指しました。
実はこのスポット、1ヶ月ほど前にたまたま訪れて、これは桜の季節には絶対素晴らしい眺めが見られそう!と確信し、タイミングを待っていた場所です。

今日のスタートはJR嵯峨嵐山駅
コロナ前の同駅は、中国人を始めとする外国人観光客で、平日でもごった返していました。
しかしコロナ禍の中、様相は一変。2回目の緊急事態宣言を受け、冬の嵐山は地元の人が散歩する姿ぐらいしか見かけられませんでした。その後、3月1日から緊急事態宣言は解除され、春休み、桜の季節も手伝ってか一時よりはだいぶ観光客の数も戻ってきました。
とは言え私が通りかかった時の嵯峨嵐山駅は閑散としていました。
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嵯峨嵐山駅の南側の出口から出て、嵐山方面を目指します。
途中のカフェにはマスク姿の石像
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午前10時頃の京福嵐山駅前の長辻通りは、まだそんなに混雑していないなぁ、と思ったら
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ミッフィー桜ベーカリーは開店前から人だかり。映えそうなおしゃれなパンを求めて若い人が楽しそうに待っています。
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2 渡月橋から亀山公園へ
長辻通りを南下して、渡月橋の手前を川沿いに西へ曲がります。
渡月橋の向こうに見える嵐山は、満開の桜の木と常緑樹とのコントラストが映えて、絵のような美しさです。
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ところで、この辺りの川の呼び方ですが、一般的に渡月橋の上流を大堰川(おおいがわ)、下流桂川と言いますが、亀岡から渡月橋までの川下りは保津川下りと呼ぶし、どうなってるの?と思って調べてみました。
明確な境界線はありませんが、保津峡辺りから渡月橋までが「保津川」(ほづ がわ)、渡月橋 周辺で「大堰川」、その下流で「桂川」となり、さらに下って、鴨川・木津川・宇治川と合流して「淀川」(よど がわ) となる。
ということだそうです。
更にややこしいことには、保津川の上流では、再び「大堰川」となり、さらに上流では「桂川」、さらに上流では「上桂川」と呼ばれています。
大堰川桂川が、何度も出てきますが、これらは通称で、行政上の表記は、すべて桂川に統一されるそうです。
保津川下りの船頭さんのブログによると
桂川の総延長は京都府下随一の長さなのです。~略~流域地域の生活に密着してきた川だけに、‘桂川’という統一名は上流地域では馴染めないらしく、~略~その地域によって使い分けられているのです。」
ということだそうです。

さて川沿いを西へ500メートルほど進みますと、
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右手に亀山公園の入り口をしらせる石碑があります。地元では亀山公園と呼ばれ親しまれていますが、正式には「嵐山公園 亀山地区」と言います。ちなみに渡月橋の東側に広がる通称中之島公園も正式には「嵐山公園 中之島地区」だそうです。
Wikipediaによると、公園内の高台にある亀山天皇を含む3天皇の火葬塚にちなんで、亀山公園と通称されるそうです。

3 様々な石碑や歌碑が点在
階段を少し上がると、右手に「周恩来詩碑」があります。周恩来氏が京都留学中に嵐山で作ったといわれる「雨中嵐山」という詩が刻まれています。
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この近くには「角倉了以像」もあります。戦国時代から江戸時代初期にかけての京都の豪商で、私財を投じて大堰川高瀬川を開削した人です。高山彦九郎像、坂本龍馬像とともに京都三代銅像の一つと言われています。私が写真を撮っている横で地元の方でしょうか?お母さんが高校生ぐらいの娘さんに「学校で習ったやろ?高瀬川作った人やん!」と話しておられました。


更に上へ登って行くと、園内には小倉百人一首の歌碑があちこちに点在しています。
小倉百人一首を編纂した場所と伝えられ、また歌の中にもたびたび登場する小倉山。亀山公園は、この小倉山山麓の東南に位置します。いにしえの都人が歌に詠んだ地がまさにこの辺りなのだと思うと、何とも言えぬロマンを感じますね…
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4 いよいよ桜の絶景ポイントへ
園内にはその他にも梅や桜の咲き乱れる児童公園に遊歩道、ベンチなども整備されており、坂道は多いものの四季折々の風光明媚な自然を堪能できる絶好の穴場スポットです。
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中でも一番のお勧めは、山頂付近にある展望台です。保津峡渓谷を見渡し、保津川を一望することが出来ます。
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タイミングが合えば、保津川下りの船や河岸を走るトロッコ列車も見下ろすことが出来、また向かいの山の斜面には大悲閣千光寺も臨め、その斜め下の河岸には星のや京都のホテル群も。春の桜、秋の紅葉はもちろん、四季折々の美しい自然が堪能出来る隠れた絶景ポイントです。
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展望台は3ヶ所あり、それぞれ違う角度から保津峡渓谷を楽しめます。
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一般にこの辺り一帯を嵐山と呼びますが、
嵐山ってどの山のことなのかな?と思い調べてみました。
Wikipediaによると
「嵐山(あらしやま)は、京都市西部にある標高382メートル (m)の山。また、大堰川(おおいがわ)を挟んで西側の松尾山・嵐山・鳥ヶ岳の嵐山三山と、東側の小倉山・亀山、さらにはその麓を含んだ地域を一般的に嵐山と称し、山麓は多数の寺社が立地する観光名所でもある。」
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渡月橋と嵐山。中央右側のピークが嵐山。
ということでした。
渡月橋の南西側の山が嵐山ということですね。

この嵐山、標高はさして高くないものの、40度の急斜面です。
ブラタモリ京都嵐山編によると…
「急斜面なのでそこに生える木の一本一本がしっかりと見え、嵐山の遠景を美しくしていたのです。
嵐山周辺の人々はしっかりと根を張って土砂崩れを防ぐ桜やモミジを嵐山の急斜面に植え、嵐山の景観を守ってきました。」
のだそうです。
それで嵐山の桜や紅葉は色とりどりで美しいのですね~納得です。
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おまけですが、一番奥の展望台を過ぎて更に道なりに進むと、かの小倉山の登り口付近に出ます。
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体力に自信のある方は、小倉山登山にもチャレンジしてみてはいかがですか?
登り口から小倉山の展望スポットまでは約20分。
京都市内が一望出来る更なる絶景スポットが点在しています。

5 亀山公園から竹林の小径へ
さて、大堰川付近の南出口から入った亀山公園をたっぷり満喫した後は、北出口から出て、有名な嵯峨野の竹林へ向かいます。
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北出口から道なりに北へ進むと左手に大河内山荘が見えて来ます。
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Wikipediaによると、
大河内山荘(おおこうちさんそう)は京都市右京区嵯峨にある日本庭園。時代劇などで知られる俳優大河内傳次郎が別荘として造営した回遊式庭園である。」とあります。入場料は1000円と少しお高めですが、入場者には抹茶と茶菓子のサービスがあります。


今回は時間の関係で大河内山荘はパスして、右手の竹林へ向かいます。コロナ前は外国人観光客がわんさといて、皆写真を撮っていましたが、今日歩いていたのはほぼ日本人。写真を撮っている人もいましたが、そんなに多くはありません。とは言え、まっすぐに天高く伸びる無数の竹の姿は、清々しい美しさに溢れ、神秘的ですらあります。
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竹林の小道を東へ進むと、右手に天龍寺北門が。言わずと知れた世界遺産臨済宗天龍寺派大本山である天龍寺
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名勝嵐山や渡月橋、亀山公園などもかつては天龍寺境内地でした。夢窓疎石作庭の
曹源池庭園を始め、境内の大方丈などの禅寺様式の建物や、法堂の天井に描かれた「雲龍図」など見どころ満載ですが、こちらはまた別の機会に譲ります。
天龍寺についてはこちらをご覧ください。
yomurashamroch.hatenablog.com


更に道なりに東へ進むと、左手に野宮(ののみや)神社が。
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木の樹皮がついたままの黒木(くらき)の鳥居が珍しいですね。
野宮神社はその昔、天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王(皇女、女王の中から選ばれます)が伊勢へ行かれる前に身を清められたところで、源氏物語「賢木の巻」にも斎王と光源氏との悲恋が美しく描写されています。
 えんむすびの神様、子宝安産の神様として全国から崇敬を集め、嵯峨野巡りの起点として多くの方が訪れる人気のスポットですが、こちらもまた別の機会に紹介したいと思います。

野宮神社を横目で眺めつつ、竹林を東へ進むと、長辻通りに出ます。この通りはたくさんの飲食店やお土産屋さんが立ち並びます。この日は平日でしたが、若者グループの春休みの旅行でしょうか?沢山の観光客で賑わっていました。

JR嵯峨嵐山駅からこちらまで、亀山公園を中心に写真を撮ったり休憩したりしながら歩き、1時間10分余りかかりました。

長辻通りや中之島公園周辺、天龍寺野宮神社二尊院などの神社仏閣などの定番の観光スポットを巡るだけでも充分楽しめる嵐山ですが、それとはまた別の自然の美しさを楽しめる亀山公園も四季の移ろいを感じられる素晴らしいスポットです。新しい嵐山の魅力を再発見出来ること請け合いです。是非しっかり歩けるスニーカーを履いてお越し下さい。